日記のネタがないので本のオススメでも。

だいぶ前に中古で買った本なんですが、これが非常におもしろい。有名になった本ですから、知ってる人も多いだろうと思うのですが。

こう、月に十数冊というペースで本が増えてますと、もちろん全ては蔵書できませんので売っていきます。
自分が面白いと思った本、何度も読み返したいと思った本が残っていくので、傾向がすごく偏っていくんですが、どれも大切な本達です。

東京都の監察医だった上野正彦氏と、さまざまなインタビュアーとの対談集です。
『死体は語る』はベストセラーになったんで知ってる人も多いと思いますが、こっちはどうなのかな。

面と向かって監察医の方に「こういう場合はどうなるんですか」とか訊けないようなことを、好奇心いっぱいの著名人たちがツッコんでくれてるので、非常に興味深い事例がたくさん載ってます。

永六輔が、老いや死についてあっけらかんと語っていたり。氏家幹人が江戸時代の検死方法について現代の法医学からはどうなのか、と尋ねていたり。

おもしろいなーと思った部分を少しご紹介。


「老人」っていったいなんだ? より。


上野  二十五歳くらいまでは成長しますが、それ以上になると人間の成長は止まりますから、現実には老いに入っていきますね。

永  そうですよね。(略)思い切って二十五から老人と言ってしまったほうが、まだ説得力があるというふうに思う。老人というのは、「老いる人」なんでしょうから。



「老人」っていう基準は適当だよなあ、という観点。同じ六十五歳でも、総入れ歯で髪が一本もない人もいれば、髪の毛は真っ黒だし、歯も自分の歯という人がいる。「老人」というのは個体差があり、一概にまとめてものを言うのはどうも違う気がする、というもの。
永六輔さんの、「老人」と呼ばれる立場からの言葉です。
まーたしかに細胞的にはもうね…下るいっぽうだもんね…。
なにをもって「老い」と判ずるのかは、なにをもって「死」をはかるか、というデリケートな問題にも繋がっていますね。人間が人間である、という尊厳を認められる重点がどこにあるのか、ということ。




監察医の推理小説論 より。


阿刀田  でも推理小説を読むと、率直なところ、ちょっとお腹立ちになるんじゃないですか(笑)。こんなバカなことと。

上野  いや、すごいことを推理されるなと感心しますよ。

阿刀田  (略)私は以前、それぞれの立場の人たちから、推理小説を批判するということをやってみたらどうかと編集部に提案したことがあるんです。ヒントになりましたのは、うちに来る税理士さんの言葉で、自分は推理小説をときどき読むんだけれども、エンターテインメントだと思っていても、銭のからんでくる話だと、税理士の目で見てしまう。すると、突拍子のないものもあるって。こんなことで金銭を奪ってみても、贈与税はどうなるんだというようなことね(笑)。とてもわりがあわないじゃないかって。

フランスの小説で、カトリーヌ・アルレーの『わらの女』という大変な名作がありますが、犯人は確か二十年間隠忍自重し、財産を横領する。そして見事に成功するんだけれども、警察の追及からはこの方法で逃れられるだろう。でも、税務署の方が簡単にいかなくて、相当の税金をとられるであろうから、二十年間いろいろ努力してもそろばんが合わないんじゃないかと思うと、その税理士が言ったんです。(略)

上野  実際、推理小説を教科書がわりに犯罪をするヤツがいる。それと新聞のニュースや何かをよく読んでいて、この手口でいこう、というのがいるんですよ。

阿刀田  でも、推理小説のまねしてやったら、たいがいすぐつかまるんじゃないかな(笑)。(略)

上野  たとえば、殺したあと、死体を焼き切ってしまえば証拠が残らないとかね。実行する犯人がいるんです。

 絞め殺して放火すれば、死体も焼けちゃうし、絞め殺したひもの跡も見えなくなって、完全犯罪になると考えたケースが実際にこの前もあった。でも、絞め殺した跡は、頭蓋骨の中にもあるんですよね。犯人はそこまではわかっていない。

首を絞めたときにできる顔のうっ血点、溢血点を焼き切ってしまえばいいと思っている。しかし、三半規管を囲んでいる骨にもうっ血がくるんです。(略)だから、わかっちゃう。



そうなのかああ!!
二人目の内田春菊さんとの対話で、死体を灰にするにはかなりの高温が必要だということもわかっていますから、いろいろ目からウロコです。

読んでて、想像しちゃって気分悪くなる人もいるかもしれませんので、読むときには体調に注意ですが、このほかにも非常に興味深いエピソードがたくさんあります。
違う世界をちょっと覗いてみたような気分になります。
『死体を語る』のほうも面白いのでオススメ。



今流行っている本や、新刊を待つのはとても幸せですけど、客観的に考えてこれから出版される本より、過去にこれまで出版された書籍の方が圧倒的に数が多い。かつ、ベストセラーと呼ばれる本があるわけですんで、わたしは、ちょっと過去にさかのぼって読む本を探してみるのが好きですね。
ISBN:4086011212 文庫 桑原 水菜 集英社 2008/02 ¥480

おひょっ! 過去編の新しいやつがやっと出たぜ!

と思って喜んで買ってみたのですが、内容の著しい同人化(って言うのかなあこれ。いまいちしっくりこないけど、なんつーか作者の自作の二次創作みたいな…)に、ちょっと苦笑しました。

本編より、この過去編のほうがおもしろいと最近は思います。

特に最初に刊行されたときは、なんというか「物語のはじまり」の凄みがあった。勢いというか、呑まれるような作品の雰囲気が滲んでいました。

それに比べるとこの新刊は軽いwww 思わず「w」使っちゃうくらい軽いっす。

作者もけっこうお遊び気分で書いたんじゃないかなー。ノリは短編です。読みやすいけど、女装wとか、天女wwとか、コスプレwwwとかが主題だと思う。つかそっちのノリが強烈すぎて中身印象に残らねぇ。

でもちゃんと次への伏線となるキャラをいれてくる辺りは、やっぱりこの作者だなぁと。ちゃんと本筋と繋がってるよって見せてくるんですね。そこらへんはきちっと決める。

ちょい無理やり感あったかもしれんけど(笑)。

ところで、私は自分で自分のことを、イタイ腐女子だと思っているけど、それの最たる理由は、

イタイ主張を、たまにぶちかましてしまうからです。一般人から見たらどーでもいい、つーか、くだらないを通り越して、なぜそんなことにそこまで熱心に弁舌を奮えるのだ?と恐れおののかれて精神世界を別次元に逃避させたいと聞き手に思わせるほどの、イタイ自論をぶちかましてしまうからです。

――――というわけで我慢できない。



ええええええこんな初期から意識しあってんのって、なんかおかしくね!!?? そこまでなんつーの、なんつーの濃ゆくお互いの距離感をはかってじりじり、じりじりしてんのってまるでだって描写が恋愛中じゃん!!!!

四百年前からぁぁあ!!??

え―――――――――なんか最初っから恋愛つーか執着ちゅーかそういうの含ませた関係だとは思ってなかったのに――(それはアンタの思い込み。自分突っ込みは重々承知)。

敵対、の時間が短すぎねー? いや思いっきり敵視し合えとは言わないしそれもナシだろうけどさー。安易に惹かれあってほしくないわー(それはアンタの願望)。

書き方が同人っぽくて萎えるー。

じわじわくるからいいんじゃんよー。ねー(誰に言う)。

気になる、なんでオレ、アイツのこと気になるんだ?みたいな恋愛漫画独特の書き方がさウワー!!!!体かゆー!!!カイカイカイカイ、そういうのどっちもやってると、出てくると、口から砂が出ちまうぜ。直視しがたい。

カカイルなら楽しいのに。なぜだ。なぜなんだ。

ともかく、短編ってことで描写が甘かったせいもあるかもしれないんですが、ちょっぴり青臭い恋愛初期★って感じのにおいがあり、私の好きな空気ではなかった。

たぶん私は、少し胸に痛い話運びのほうが好きなんだと思います。

しかし、物語の時間的に追うと、生まれ変わった主人公たちが体にも慣れてきて、少し笑いが混じる余裕ができ(生きてる人たち、という感じがでてきた)…という流れには沿っている。こういう話もちょうどいいんだろう。
構成的には次話に期待です。


すんげどうでもいい蛇足だけど、イタい桑原さんに、黒乃ナナエさんがイラストつけた、私にとっては濃ゆさ絶好調、大好きなコンビかもしれねぇ!と密かに興奮して買ったイ/ル/ゲ/ネ/スって小説は、クソつまんなかったです。

こんなこと言っちゃって好きな人いたらほんとすみません。でも桑原さんは、もう少し話の流れ的に、じっくり書く部分を増やしたほうがいいと思う。
スピード感がありすぎて、急展開と主人公のガガーン!ショック!についていけず、置いてけぼりにされたりするなと思いました。

長所は短所って、よく言ったものだ。むずかしい。
ISBN:4049250497 コミック 森永 あい 角川グループパブリッシング 2007/09/22 ¥420

ひでぇ…限定版ゴージャスの、ほぼ再録じゃんかよ…。
うおおお…よく確認しないで買った私が悪いが、すげー損した気分だぜ。

ハルヒの既刊をさらっと立ち読みしてきました。悪くないけど、どうも男向けのラノベはあんまりハマれないなあ…なんでだろ。あまりにも出てくる女キャラがステレオタイプだから? いや、でも不快感はないのに…ハルヒの作者さんの描写だと、わたしもみくる萌えできるんですが…なんでだろうな、うーむ。

単純にいま、学園ものが好きじゃないからかなー。

とりあえず古泉の出るシーン中心に斜め読み斜め読み。

昨今のラノベは、男性向けと女性向けで、ものすごく特化してきてる気がします。逆に、誰もがハマる、読んでおもしろい!というような作品が減っているような…私が情報収集不足なのかなー。

たとえていうならスレイヤーズ、タイラー、ロードスとか、……自分でなに言いたいのかようわからんけど、なんつーか勢いのある、ジャンルの頂点に立つような作品が減ってきてる?みたいな。

小粒の良作がいっぱい、という印象です。

逆に、すごく人それぞれの特定の好みを網羅するような話が多くて…細分化されてるっていうのかなこれは。

残念なことに、最近のスニーカー文庫でめっちゃ売れてる小説を読んでも、わたしはあまり面白いと感じなくなってきています。
ま、それは女性向けのティーンズ小説でも同じなんですが。なんか引力をあまり感じない。

おもしろいと、文章読んで、十ページでぐいっと引き込まれるんですけど、その引かれる感じが、とんと失せてしまって。

最近めっちゃ引力を感じたのは、翻訳ファンタジーだけどLMビジョルドの「チャリオンの影」ぐらいでしょうか。これの引力はかなり「キター!!」けと思ったけど、それ以来ぱたりとそそられる話に出会っておりません。さびしいことです。

開拓にいこうと思って図書館に向かったら、閉館でした。田舎の図書館は五時で閉まる。そして閉館日数がアホかというほど多い…。社会人は本を読むなと?(笑いながら怒怒怒怒)

誰かおもろい本教えてください…。
ISBN:4251007204 単行本 原 ゆたか あかね書房 1989/07 ¥795

ずっと捜し求めていた本です。
児童書なのですが、めちゃめちゃ面白い。皆さんを爆笑の渦に陥れること間違いなしの一品です。

いやー児童書読んで、母娘で涙にじませ大爆笑したのは、この一冊だけじゃないでしょうかね。

ちょっとあやふやな記憶ですが、おおまかなあらすじは、


主人公は現代の、元気いっぱいの男の子。
森のおばあさんのところへお使いを頼まれます。赤いフードのついたコートは女のこっぽくてイヤだと言い張ったのですが、お母さんにむりやり着せられ、送り出されてしまいます。

題名からわかるようにあかずきんちゃんのパロ作品。でもそのパロ具合が絶妙です。

オオカミに同情したくなったあかずきんは初めてでした(笑)。

さて一方、こちらは森に住んでいるオオカミ。こいつは昔昔、あかずきんちゃんを襲って、猟師にこてんぱんにされてしまったオオカミの子孫という設定です(どうなのよそれ(苦笑))。

森をすっとぶように駆け抜けていく、赤いフードをかぶった子供を見て、オオカミは「今こそ復讐のとき!」といきり立ちます。

ところがこのあかずきんは、か弱くおとなしやかな女の子なんぞではなかった…。

オオカミを「遊んでくれる相手」と勘違いした男の子、チャンバラごっこやらなんやらで、オオカミの方をぼっこんぼっこんにしてしまうのですよ。

もー、こんときの会話とかが、見事にかみあってないというかトンマというか、ことごとくオオカミの狙いが外されるところが楽しくってしょうがない。

あげく、「あ、お使いわすれてた!」とおばあちゃん家にビューン☆

うちひしがれながら、よろよろと、オオカミは、帰り道で待ち伏せをたくらみます。なにせ、先祖はおばあちゃん家まで行って失敗しましたからね。

ところが。

男の子は今度は、赤いフードつきコートを、おばあちゃん家に忘れて帰ってしまうのです。

ふつーの男の子の格好でビューン!☆☆と森をすっとんでく子供を見て、オオカミは「いや、あれは…あれは男の子だから、あかずきんじゃないはずだ!!」と、

けっきょく待ちぼうけをくらってしまうのですわ…。

確かその後、おばあちゃん家にすごすご向かって、おばあちゃんに慰められたような気もします。

まー、なにせ小学生のときの記憶なんでどこまで確かだかわかりませんが、こんだけはっきり覚えてるとどうしても読みたくて探していたのですが、ネットのおかげで見つかりましたー。

どうにか手に入れて、自分の記憶との齟齬を確かめたいものです。そしてまた大笑いしたいなー。

ぼんくら〈上〉

2005年10月7日 読書
ISBN:4062747510 文庫 宮部 みゆき 講談社 2004/04 ¥620

この作品、今月9日(って明後日やん!)から、ラジオで朗読劇が始まるようです。

というのも、以前から読んでみたいなとは思っていたのですが、最近ハマっている時代劇専門チャンネルの毛利元就役をしている中村橋之助氏が、その主人公役をやるそうなんですね。

ちょうど番組の合間にPRしていたのを見て、気になって原作が読みたくなりました。

気になると行動が早くなるので、翌日には本屋で、文庫版上下を購入いたしました。

で、購入したからには当日中に読み終えました。

これねー、ほんとよくできた話です。

宮部みゆきは、重い話は重く、深い話は深く、コミカルな話はやわらかく、実に上手に読ませてくれる作家さんだと思います。

最近の作品はあんまり読んでいないのですが、崩れないこの力量はすごい。

ぼんくらは、お江戸は深川北町の一角にある、鉄瓶長屋と呼ばれる長屋を舞台に話が転がっていきます。

お徳さんのつくるお煮しめの美味そうな匂い。子供達の遊ぶ声。長屋から響く小間物の音や、洗濯の音、食器を洗う音、おかみさんたちの笑い声、噂話や内緒ごと―――文章からそんな日常を湯気のようにまとわせて、淡々としているようで、ふしぎにあったかいのがクセになります。

でもそんな舞台でも、摩訶不思議事や、血なまぐさい事件やなんかも、起こったりするわけです。

でもそれはあくまで最初から「添え物」としてあって、話の中心は「日常」の中からひろってきているのがおもしろい。

例えばよくありがちなパターンとしては、何気ない暮らしに、石が放り込まれたかのように出来事が起こって、人物が絡んで過去が絡んで――というのがあると思うのですが、

このお話は、そりゃ「お江戸」だから生老病死がいまよりずっと身近で、刃傷沙汰なんかもありますが、人にとって一番大事なのはやっぱり毎日の生活で、家族のことで、仕事のことで趣味のことなんですよーという基点を忘れていない。

生活の匂いが、ぷんと香りたっているのです。

父親の介護に苦心する娘や、夫を亡くした悲しみを抱いたまま、けれど明るく生きている女。
博打に身を持ち崩す男。
身体を売ってからリ笑い生きる女。

一見、なんの関係もなく起こっている出来事、それらをつなぐ透明な糸がしだいに濃く明らかに見えてくるさまは圧巻です。

噛み応えのある話だなあと思いました。

こういった短編連作になっている形は、中にはどうしてもどれか、「この短編はあんまりおもしろくないな。この部分はつまんない」という場所があるものですが、私にはそれが見当たりませんでした。驚異です。

どの短編もおもしろい。
うまく登場人物を増やしていくのも、それに不自然さを寄り付かせないのも、作家の技量なのでしょうか。

特に、主な登場人物である、中村橋之助氏が演じると思われる「井筒の旦那」こと井筒平四郎の甥っ子、弓之助が出てきてから、話の色がポップさも混ざってにぎやかに、はなやかに変ります。

読者をひきつける魅力を、要所要所で出すところが上手いのです。で、やられた!と思いつつも乗せられるしかなく、思いっきり乗せられて読んで、ぎゃー弓之助ッおまえそんな歳の時からそんな凛々しくて可愛く凛々しくて可愛くてどーするんだ!!!などと惚れてみたりするのです。

ミステリー作品としても面白いですが、江戸の時代小説としての魅力も強い。さらにはキャラクターも立っている。

おもしろくないわけがない、これで。

―――とりあえず近いうちに続編を(出てるっぽいので)手に入れることを誓います。あーでも図書館とかで借りたほうがいいんだろうな〜。

突き上げる感動とか、燃え上がるような展開が待っているのではなく、気の行き届いたうまい食事を終えたような満足感が、胸に残る作品でした。
ISBN:4093861536 単行本 嶽本 野ばら 小学館 2005/07 ¥1,470

今日本屋に行ったら見つけちゃって、思わずそのまま立ち読み態勢に入ってしまいました。

元々映画の下妻物語のほうは見ていて、近年でも随一の私的ヒットだ!と歓喜したのですが、この続きのほうもかなり面白かったです。

やっぱ読んでて笑えるってのはいいよね。

最近読んだ漫画だと「今日から俺は!!」があるので、なんかヤンキーに縁があるなとか思いつつ。たのしーのなんの。

殺人事件と銘打ってはいますが、ミステリ的要素は皆無です。いやそういう話向きになったりするんですけど、ぜーんぜんそういう話じゃないですね。

というか殺人事件が起こる意味あったのかしらこれ。

とかも思っちゃったり。いや物語の流れ的にね、絶対必要だと思われるような要素ではないと私は感じちゃったのですよ。題にまで入ってますけども。

まあでも面白かったのでいいんですが。

ロリータファッションに命をかける少女と、アタマがパープーな、だけど一途なヤンキー少女。

なんで下妻物語が好きなのかなーというと、この作品に漂うロリータや、バイクに対する情熱が私をひきつけるからだと思います。

そこはかとなく漂う、オタク性とでもいいましょうか。

何かに夢中になってるひとは、どこか似てる気がします。特定の話題でだけきらきら目を輝かせるひと。その分野で息を吹き返すひと。
これだけは愛してやまないと大事に思うこと。

そういった一途で、一般の見方からすればちょっとおバカで、でも当人たちはこの上なく幸せな生き方。―――それをオタクというのです。

自分の好きなものに向かって冒険する姿勢を、いつからか誰しもが少しずつなくしてしまいます。
子供の頃、おもしろがって家と家の隙間を探検していたけれど、いつからかやめてしまったように。
私は服が汚れる事の方が大事になってしまったのです。

でも人間は変っていくけれど、変らない核の部分もあるのですよね。
自分のそれはどこにあり、そして何だっただろうかと、読み終えて少し考えました。

蒼穹の昴(1)

2005年8月2日 読書
ISBN:4062748916 文庫 浅田 次郎 講談社 2004/10/15 ¥620

蒼穹の昴に、ただいま妹子がハマり中。




…………なにもこんなド修羅場中にハマらんでも…(白目)。




しかしこの本、べっくら面白い。

私が初めて手にしたのは高校の時だが、ブ厚くかつ重いハードカバーの此作をかたときも離さず読んだことを覚えている。

清朝末期の中国を舞台に、ひとりの少年と青年を中心として話は始まる。

欧米諸国、そして日本が中国へ侵略の手を伸ばそうと画策する寸前、王朝がゆらぐ動乱の時代。

生き生きとした数限りないキャラクターたちが描きだしていくのは、激動にもまれた人々の営み。

――陰謀と思惑。
皇帝の黄色に包まれた王宮、紫禁城の、奥深くで交わされる密談。巨石に囲まれた庭園での過去との対話。

――友愛と情熱。
その時をただ切ないほどひたすらに生きていく少年たち。振り回される女たち。一方で、国の危機に立ち上がり、変革に燃える青年の眼。

歴史で学ぶ『西太后像』をぬぐいさってしまうほど魅力的な、西太后。

―――とにかく、美味しい仕掛けがたっぷりのお話なのです。

読んだあとに、ごちそうさま!と本を閉じれる話は少ないですが、その数少ない一作品に、私の中では位置しております。


浅田次郎というひとは、泣かせる話を書くひとだとか一時期言われてよくテレビに出たりして、「こんな話じゃ私は泣けない」とかいろんなタレントがコメントぶったりとかしてましたが、

はっきし言って、この人の短編はわたしもそんな好きじゃないです。
直木賞を受賞した作品より、前年直木賞候補にあがったこのお話のほうがずっとずっと好きです。

そんで、テレビの演出だとはわかりつつもカッチーンとキたんですが、

泣ける話だからイイんじゃないです。

楽しくて興奮して――そんで泣いちゃうほどのおもしろさだから、イイんです。



テレビ、その順番間違えんじゃねえよ(怒)。
思いだしたらちょっと憤りが再燃してしまいました。まだまだ若いな俺も。



まー、最近ぽこぽこ量産されてる作品は、勢いとノリだけで書いたっつー印象が濃すぎるのが多いですけど。

って評論家ぶれるほど、じっくり読んでるわけでもないんですがね。

プラネテス (1)

2005年7月23日 読書
ISBN:4063287351 コミック 幸村 誠 講談社 2001/01 ¥680

レビューってより、感想です。


おもしろかったです。

私がいない一年間の間にアニメにもなったそうですね。こんなところで一年間のオタクギャップを感じてちょっと鬱。

情報から遠ざかるのは悲しい。でも取り戻すのも早いけど。

内容を知らない方のために一応説明のようなもの↓

廃棄された人工衛星などは、そのまま宇宙をあてどなく漂うゴミ――通称「デブリ」となってしまいます。
主人公、八郎太はそのデブリ回収員。いわば宇宙の掃除屋。

いつか自分の宇宙船を持ちたいという夢をもつ八郎太の、デブリ作業員としての日々からこのお話は始まります。


さて。

すべての問いは、自分に跳ね返ってくると私は思います。

たとえばこの漫画で言うなら「宇宙ってなんだろう」。

一度の爆発で撒き散らされたデブリを回収するのに費やす時間は10年。

「デブリを回収するこの仕事はいったいなんなんだろう」。

拾っても拾ってもデブリはなくならない。

「わたしたちのやっていることって、なんなんだろう」。


自分ってなんだろう。自分のやっていることは一体なんなんだろう。

――わたしが本当にやりたいことって、何だっただろう。


ふと見下ろした時に両手の中にあるものは、そう多くはありません。

頑張っても手に入らない。やり続けても変わらない。

むなしさばかりが心を支配する一瞬はたしかにあります。

なんだろう、うまく言えないのですけども、しかしそう判断して思うのはただ自分ひとりです。

自分が思う自分と、他人が見る「自分」の存在はけっこう違うものです。

わたしがわたしであるかぎり、外の目を持つことは決してできないから無理なことではありますが、そうして宇宙の目で自分を見たとき――ふっと気持ちが掬われる安堵もまた、たしかにあるのだと思います。

自分の世界だけでわたしを見つめていると、けっこう死にたくなります。

たまに他の世界をのぞいて、それでも足りなきゃどっかへ飛び込んで――無計画なようでいて、実は必死に自分を生かそうとしているのかもしれません。
ISBN:4334033121 新書 古川 修 光文社 2005/06/17 ¥735

帰国当日すぐさまズビュン!!と向かった本屋で、妹子が「おおおおお…」と感銘を受けたように手にした一冊(この酒呑みめ!(苦笑))。

気が付いたら、いつのまにかヤツが購入していた(笑)。

オススメの店が紹介されてるのもうれしいが、おいしい呑み方が載ってるのがいちばんのウリ。

「日本酒は、…日本酒はウマイんだ―――ッッ!!!」

という筆者の叫びが、そこここから迸っていて楽しい。

私もふだん冷で、ひとくち、ふたくち啜るだけだけども(酒めちゃ弱いので)、日本酒は料理にも合うし、呑みやすくておいしいと思う。

どうやら近所にオススメの店が一軒あるみたいなので、妹子は友人の酒呑みを誘っていくでしょう。

行っても呑めないわたしだけども、料理目当てで行きたいな…。

――ってかレビューになってない。
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