いい加減に読まなくては、と図書館から借りてきた田中芳樹著『運命 二人の皇帝』を読んだ。

幸田露伴の作品の翻案、というと言葉がムズイけど、要は焼き直しというか「この作品、私ならこう書く!」と試みたシリーズ。

この本、帯に他のシリーズが上がってるんですが、大沢在昌のバスカビル家の犬とか、志水辰夫の十五少年漂流記とか、おおおこれ読んでみたい!と思われるような題材がごろごろしていました。
菊池秀行の吸血鬼ドラキュラは「え、書いてなかったっけ?」とかツッコみ、唯一読まなくてもよいと思えましたが。

……ま、他の本は図書館には置いてなかった。ガッデム。

んで『運命 二人の皇帝』。

なんかねーこれねー幸せだよねー。
本の題材がとかではないんですが、現代、とくにこの数年のネット環境に囲まれてこの本を読める幸せをかみ締めておりました。

中高生のときに歴史関係の本をしこたま読んでたけど、中でも田中芳樹の古代中国ものを短編でいくつか読んでるときほど、「この次の時代はどうなったんだろう?」と思わずにはいられなかった本はないですよ。
この将軍は、この皇帝は、この歴史上の人物は、この一族はどんな行く末をたどるのか――もー気になってしょうがないけど、うちにはセールスマンに売られた百科事典もなけりゃ、自前の図書室なんかもないし、知る手はずが一個もなかった。

どうにか後日、時間を見つけて図書館に行って調べるとかする以外、方法はありませんでした。

そんで時間が経つと、読後の興奮もうすれちゃって、調べることがどうでもよくなっちゃったりしてたんですよね。もったいない。
鉄は熱いうちに打たねばならんのに。

ところがですよー!
今じゃ、ネットで検索すればあら不思議、ていうか不思議でもなんでもなく一発OK! 簡潔明快! 読んでた本の次代の次代の次代…をたどって現代まで、ずらずら歴史を調べることができるんですよ!!


もー!!!


これが十代前半の頃にできたなら……(涙)!!!!


ウィキで登場人物のページを開きながら『運命 二人の皇帝』を読む面白さ…!!!


気になったことがすぐ調べられるってなんて幸せ!!

逆に、ある程度調べられたほうが、図書館いったときにより知りたいことが限定されてきて便利だし。ネットでまず調べてみるのは、決して悪いことではない気がします。
大事なのは、ネットでの情報が必ずしも正しいわけではないってきちんと理解しておくことで。

でもそういう言い方すると、歴史観なんか、研究が進んだり新しい資料が見つかったりする度に変わるし修正されるもんですからね。本だってどこまで信頼できるかは怪しいもんです。いつ書かれたかによって、だいぶ挙げられてる根拠に違いがあったりする。

なにが正しいのかなんてようわかりませんね。正しいことは結局多数決なんかな?と思いながら私は調べてます。

逆に、古い資料をもとに書かれた本のほうが、書き方的には面白かったりするときもあります。
著者の「おれはこう仮説を立てる!こういう資料があるからだ! だから、たぶんこの後はこうだったりするんじゃないかな! だったらすげえ俺的に楽しいんだけど!」みたいな、
「この時代大好きなんじゃーっ!」精神に満ち溢れた、勢いのある論体になっていることがしばしばありましてね。

正しいかどうかが大事なんかじゃなく、それが自分にとって価値があるかどうかが重要になってくるんでは?というのは、即物的な考え方かなあ。

ロマンを追い求めるなら、現地に行くのが一番なのは確か。

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