群像劇でミュージカルってどうなんだろ?と正直思ったりしてたけど、けっこう大丈夫だった。

すごい場面がコロコロ変わるから、長くても飽きない。ずっと音楽が流れてる(オーケストラ生演!)のだが、全部が全部違う歌ではなく、決まったメロディを何度も使っていくから、すごく自然で入りにくいことがない。むしろ観てるうちにどんどん話に入り込んでいく感じ。

ジャン・バルジャンはもちろんよかったけど、ネットとかで調べてたエポニーヌの歌がやっぱり一番胸にきました。泣いてしまった。ファンテーヌの歌のときも泣きそうになった。我慢したけど。
何度もざわざわっと鳥肌が立って、音楽ってすごい、歌って威力はすばらしい、人間の声にはなんという可能性があることかーと感動。

架空の物語なのに、なんというか人間の悩み方とかはほんと古今東西変わりませんね。

自分の過去の過ちと、それから逃げ続けてでもやり遂げなくてはならない誓いとの狭間で生きるジャン・バルジャン。

仲間と命を懸けて戦いたい気持ちと、恋人と一緒にいたい気持ちにさいなまれるマリウス。

愛するひとの願いのために身を切るような思いで尽くすのに、家族からも愛するひとからも省みられないエポニーヌ。

娘を育てるために働きながら、蔑まれ、貶められ、しまいには娼婦に身を落とし、娘の幻影をみるファンテーヌ。

自分の信じる正義と信念のためにバルジャンを捕まえようとしていたのに、バルジャンに命を助けられて、なにが悪人でなにが正しいのか判らなくなってしまったじゃベール。←ある意味いちばん純心じゃないかコイツと思った。

バルジャンは、私の中では、自分に降る運命と戦うひと、というイメージです。決して成すがまま、成されるがままではいまい、という強い決断と行動力、でも心の中では悔やみや後悔や自分への叱咤できっと煩悶を繰り返しているんだろうなと思えます。

それぞれの世代、それぞれの立場(母や父や娘や友人や仲間や恋人…)での想いや悩みが舞台上を交錯していくのがすごく鮮やかです。

きっと何歳になって観ても、それぞれの歌や心情にどこかしら共感を覚えたり、身につまされたりする部分があるんじゃないかと思えます。

舞台で観るのをぜひ薦めたいミュージカルでした。

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