死体を語ろう (角川文庫)
2009年3月5日 読書
日記のネタがないので本のオススメでも。
だいぶ前に中古で買った本なんですが、これが非常におもしろい。有名になった本ですから、知ってる人も多いだろうと思うのですが。
こう、月に十数冊というペースで本が増えてますと、もちろん全ては蔵書できませんので売っていきます。
自分が面白いと思った本、何度も読み返したいと思った本が残っていくので、傾向がすごく偏っていくんですが、どれも大切な本達です。
東京都の監察医だった上野正彦氏と、さまざまなインタビュアーとの対談集です。
『死体は語る』はベストセラーになったんで知ってる人も多いと思いますが、こっちはどうなのかな。
面と向かって監察医の方に「こういう場合はどうなるんですか」とか訊けないようなことを、好奇心いっぱいの著名人たちがツッコんでくれてるので、非常に興味深い事例がたくさん載ってます。
永六輔が、老いや死についてあっけらかんと語っていたり。氏家幹人が江戸時代の検死方法について現代の法医学からはどうなのか、と尋ねていたり。
おもしろいなーと思った部分を少しご紹介。
「老人」っていったいなんだ? より。
「老人」っていう基準は適当だよなあ、という観点。同じ六十五歳でも、総入れ歯で髪が一本もない人もいれば、髪の毛は真っ黒だし、歯も自分の歯という人がいる。「老人」というのは個体差があり、一概にまとめてものを言うのはどうも違う気がする、というもの。
永六輔さんの、「老人」と呼ばれる立場からの言葉です。
まーたしかに細胞的にはもうね…下るいっぽうだもんね…。
なにをもって「老い」と判ずるのかは、なにをもって「死」をはかるか、というデリケートな問題にも繋がっていますね。人間が人間である、という尊厳を認められる重点がどこにあるのか、ということ。
監察医の推理小説論 より。
そうなのかああ!!
二人目の内田春菊さんとの対話で、死体を灰にするにはかなりの高温が必要だということもわかっていますから、いろいろ目からウロコです。
読んでて、想像しちゃって気分悪くなる人もいるかもしれませんので、読むときには体調に注意ですが、このほかにも非常に興味深いエピソードがたくさんあります。
違う世界をちょっと覗いてみたような気分になります。
『死体を語る』のほうも面白いのでオススメ。
今流行っている本や、新刊を待つのはとても幸せですけど、客観的に考えてこれから出版される本より、過去にこれまで出版された書籍の方が圧倒的に数が多い。かつ、ベストセラーと呼ばれる本があるわけですんで、わたしは、ちょっと過去にさかのぼって読む本を探してみるのが好きですね。
だいぶ前に中古で買った本なんですが、これが非常におもしろい。有名になった本ですから、知ってる人も多いだろうと思うのですが。
こう、月に十数冊というペースで本が増えてますと、もちろん全ては蔵書できませんので売っていきます。
自分が面白いと思った本、何度も読み返したいと思った本が残っていくので、傾向がすごく偏っていくんですが、どれも大切な本達です。
東京都の監察医だった上野正彦氏と、さまざまなインタビュアーとの対談集です。
『死体は語る』はベストセラーになったんで知ってる人も多いと思いますが、こっちはどうなのかな。
面と向かって監察医の方に「こういう場合はどうなるんですか」とか訊けないようなことを、好奇心いっぱいの著名人たちがツッコんでくれてるので、非常に興味深い事例がたくさん載ってます。
永六輔が、老いや死についてあっけらかんと語っていたり。氏家幹人が江戸時代の検死方法について現代の法医学からはどうなのか、と尋ねていたり。
おもしろいなーと思った部分を少しご紹介。
「老人」っていったいなんだ? より。
上野 二十五歳くらいまでは成長しますが、それ以上になると人間の成長は止まりますから、現実には老いに入っていきますね。
永 そうですよね。(略)思い切って二十五から老人と言ってしまったほうが、まだ説得力があるというふうに思う。老人というのは、「老いる人」なんでしょうから。
「老人」っていう基準は適当だよなあ、という観点。同じ六十五歳でも、総入れ歯で髪が一本もない人もいれば、髪の毛は真っ黒だし、歯も自分の歯という人がいる。「老人」というのは個体差があり、一概にまとめてものを言うのはどうも違う気がする、というもの。
永六輔さんの、「老人」と呼ばれる立場からの言葉です。
まーたしかに細胞的にはもうね…下るいっぽうだもんね…。
なにをもって「老い」と判ずるのかは、なにをもって「死」をはかるか、というデリケートな問題にも繋がっていますね。人間が人間である、という尊厳を認められる重点がどこにあるのか、ということ。
監察医の推理小説論 より。
阿刀田 でも推理小説を読むと、率直なところ、ちょっとお腹立ちになるんじゃないですか(笑)。こんなバカなことと。
上野 いや、すごいことを推理されるなと感心しますよ。
阿刀田 (略)私は以前、それぞれの立場の人たちから、推理小説を批判するということをやってみたらどうかと編集部に提案したことがあるんです。ヒントになりましたのは、うちに来る税理士さんの言葉で、自分は推理小説をときどき読むんだけれども、エンターテインメントだと思っていても、銭のからんでくる話だと、税理士の目で見てしまう。すると、突拍子のないものもあるって。こんなことで金銭を奪ってみても、贈与税はどうなるんだというようなことね(笑)。とてもわりがあわないじゃないかって。
フランスの小説で、カトリーヌ・アルレーの『わらの女』という大変な名作がありますが、犯人は確か二十年間隠忍自重し、財産を横領する。そして見事に成功するんだけれども、警察の追及からはこの方法で逃れられるだろう。でも、税務署の方が簡単にいかなくて、相当の税金をとられるであろうから、二十年間いろいろ努力してもそろばんが合わないんじゃないかと思うと、その税理士が言ったんです。(略)
上野 実際、推理小説を教科書がわりに犯罪をするヤツがいる。それと新聞のニュースや何かをよく読んでいて、この手口でいこう、というのがいるんですよ。
阿刀田 でも、推理小説のまねしてやったら、たいがいすぐつかまるんじゃないかな(笑)。(略)
上野 たとえば、殺したあと、死体を焼き切ってしまえば証拠が残らないとかね。実行する犯人がいるんです。
絞め殺して放火すれば、死体も焼けちゃうし、絞め殺したひもの跡も見えなくなって、完全犯罪になると考えたケースが実際にこの前もあった。でも、絞め殺した跡は、頭蓋骨の中にもあるんですよね。犯人はそこまではわかっていない。
首を絞めたときにできる顔のうっ血点、溢血点を焼き切ってしまえばいいと思っている。しかし、三半規管を囲んでいる骨にもうっ血がくるんです。(略)だから、わかっちゃう。
そうなのかああ!!
二人目の内田春菊さんとの対話で、死体を灰にするにはかなりの高温が必要だということもわかっていますから、いろいろ目からウロコです。
読んでて、想像しちゃって気分悪くなる人もいるかもしれませんので、読むときには体調に注意ですが、このほかにも非常に興味深いエピソードがたくさんあります。
違う世界をちょっと覗いてみたような気分になります。
『死体を語る』のほうも面白いのでオススメ。
今流行っている本や、新刊を待つのはとても幸せですけど、客観的に考えてこれから出版される本より、過去にこれまで出版された書籍の方が圧倒的に数が多い。かつ、ベストセラーと呼ばれる本があるわけですんで、わたしは、ちょっと過去にさかのぼって読む本を探してみるのが好きですね。
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