ネットをする妹子のとなり、コタツに足をつっこみながら、バスタオルを顔にのっけて影をつくって仮眠しようとするわたし。

よく、「唐突に」「出し抜けに」などと、物事が突然起こったかのような書き出しがあるけれども、

気心知れた仲なら、大概の会話は突拍子もなく始まるんじゃなかろうか。

たとえば私は、友人とは挨拶がわりに「ピーマン食ってるー?」「農家のみなさんの作ったピーマンはとても美味しいのです」。

だれがそんなことを訊いた。

たとえば無表情で、「おなかへりりんごー!」「はらへりマンゴー」。そしてまた沈黙。

なにがしたいんだお前らは。

と第三者なら思いますけれども、じつは上記の会話、たとえば前者では

「おいらも君のピーマン料理くいたい。くわして」「いいよ。ピーマンのスバラシサを伝えたいああ激しく伝えたい」とか、後者では、

「はらへったから何かつくって」「やだよオイラも腹へったもん。そっち作って」「やだ」――なんていう、

含蓄ある非常にためになるような意思疎通が交わされているのであります。

きっとこういった経験は、気のおけない家族や友人恋人をひとりでも持つ方なら誰でもあるものと思います。

そして今日の会話も、「出し抜け」に始まったのであります。



「あのさーヤリすぎで死んじゃうっての何て言うんだっけ」

「…腹上死?」

「ちがう。それじゃなくてもうひとつ。別のやつ」

「……腎虚?」

「それだ!!」


快哉のように妹子は叫びました。
当然の質問をわたしは投げかけました。

妹子によると、今日、職場の同僚さんがマナティの話をしていて(ビミョーだなおい)、その中で、マナティの雄はハーレム状態で、何匹ものメスと交尾するのでヤリすぎて死んじゃうんだって、という話を聞いたのだそうな(さらにビミョーだな)。

「で、ヤリすぎで死ぬのってあーそういえばなんて言うんだっけって思って」

「はーなるほど」

わたしがその場にいたら「男としては理想の死に方ですね☆」とか言って場をさらにビミョーにしそうだ。とかなんとか言いつつ、

けど腎虚ってどういう症状なんだろうね。
ちょっと調べてみてよ、と言ったのがはじまりでした。

「腎虚」という漢方用語との……。



私はてっきり病状の名称だと思っていたのですが、そうではないもようです。東洋医学の言葉で、「腎」が「虚」になる、という意味だそうです。

しかしこの「腎」という言葉。しめしているのはさては泌尿器系というか下半身のまああそこらへんだろうと思っていたら、ところがどっこい。

とあるサイトでは、

“、「腎臓・副腎」・「膀胱」・「黒い色」・「しょっぱい味」・「恐怖心・不安感・驚き・ショック」・「耳・ニ陰=大小便の出口、つまり尿道と肛門」・「骨・歯」・「髪」・「生殖器」・「脳」・「睡眠」・「冷え・寒さ」などの全てを「腎」と総称します。”

なんて書かれていて、頭の弱い姉妹の探究心を早くもげんなりさせました。
範囲広すぎ!! これじゃわかんないよ!!

ムキムキマッチョメンの道士が、

わかるのではない、感じるのだ―――

とか気孔やってる図が頭に浮かびます。わたしの漢方に対する認識なんてその程度のもの。…いや実際中国行ってみて、すごい効き目があるなあとかはわかったんですが。

ともかくも、腎虚≠腹上死、の式は正しいようです。

ひとつ賢くなりました。

カカイル話の中でカカシ先生をヤリすぎで死なせても、「腎虚」とは書かないことでしょう。

………それに何の意味があるんだよ。との突っ込みは、自分でもラリアートの勢いでかましてますんでそっとしてやってください…。



ちなみにいまさらりと調べてみましたが、
マナティがハーレムを作るかどうかまでは確定できませんでした。よくわからない…。

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