南極で皇帝ペンギンの生態を追ったフランスのドキュメンタリー。
南極に冬の気配が訪れる頃、皇帝ペンギンたちは、自由と安息を約束する海を離れ、営巣地へ向けて100キロ近い行進を始める。 生まれてくる我が子を外敵から守る最良の地。
しかしそこでは、マイナス40度、時速250kmのブリザードの中、120日間の絶食という過酷な試練が待ち受けていた。

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とりあえず題はナルト調でいってみました。

字幕版か吹き替え版か悩んだのですが(実は事前にレビューを見たひとは字幕版の方をオススメしていた)、映像に集中できるだろうということで吹替を選択してみました。

午前中の放映だったのですが、なんの、お年寄りから若い衆まで揃っていました。さすが文部省推薦作品は客層も違うとたい(何人だ)!

さて映画の内容ですが。

元々日本人は動物モノに弱い。
しかもこういうドキュメンタリー形式の番組に慣れている。
ドウブツ奇想天外とか私は好きでよく見てますし。

そんなわけで特にものすごく目新しい感覚は受けなかったのですが、サムイ気分ではなくとても心地よい涼しい気分になれたのは確かです。

映像を堪能したくて吹替えを選びましたが、これは画面自体もペンギンの歩く速度に合わせるようにゆるやかに流れていくので、字幕でも充分だいじょうぶだったでしょう。

むしろフランス語のふしぎな響きを楽しめますから、これから見る方には字幕をオススメしたいです。

このドキュメンタリー映画のすてきなところは、ペンギンのちいさな家族を演出しているところですね。

首を垂らして子供の声に耳を澄ます父親、いとしそうに顔を寄せ合(って見える)う恋人たち。
バックを氷に溶けそうな音楽が流れれば、小さな黒い目に愛情があふれて見えます。

そう感じさせるのは自分の想像力なのだとわかりつつも、雪の下から小さな春の気配を見つけたように微笑んでしまいます。

確かに小学生くらいの時に見てみたかったなあと思う映画です。その時だったらどう感じただろう?
きっといま胸に生まれる感情の何倍も何十倍も、いろんなことを考えて不思議に思い、どきどきしたんじゃないかな。

ちょっとノスタルジーにも駆られつつ、映画は進んでいきます。

皇帝ペンギンは、ぶっちゃけ自分の股ぐらに卵をのっけてあっためるのですが(すんませんこのこと、どーしても頭から離れないのよいつだったかテレビで見てから)、極度の飢餓状態にある母親は、卵を産んですぐに海へ食料を求めにいかねばなりません。

ゆえに卵を産むと、それを父親の股ぐらに移してあげるのです。
映画のように「足の間」と言え、自分。

このねー卵を渡すということが、それ自体でもう大作業なんですね。

無防備な卵である子供が、極限ともいえる南極の寒さに耐えられるのは、わずか数秒。

ぜったいに間違いは許されないのです。

若い夫婦の卵が、ころころとふたりの間、十センチほど転がり――、

一呼吸もたたぬうちにぺきぺきと亀裂が走り裂け目ができ、その裂け目さえもが凍りつき縮んで、死んでいきました。

劇場中にひびいた、ピシピシという乾いたあの音。
生命が凍る音。

なまじの怪談よりも身がすくみました。

演出によく長けた映画だったと思います。

生命を育むあたたかさを演出しながら、同時に生のうつくしさ、ひたむきさ、残酷さを突きつける。

だからこそいとおしいんだと、家族を求める子供の声、父親母親の声がどんどん澄んでいくようでした。

皇帝ペンギンは、とても綺麗な生き物でした。



一緒に見に行った友人は映画とかが苦手なのですが、無類のペンギン好き。

見終わった後に「うおお今劇場の出口で子ペンギンのぬいぐるみが売っていたら買うかもしれん…!!」と唸ったわたくしに「もう持ってる」とニマリと笑いました。

というか劇場の出口でぬいぐるみでもキーホルダーでも売ってたら、あれを見てた人たちはかなり高い確率で買いそうになると思うのですよ。

去年、ナルト映画を見に行ったとき、みんながグッズに殺到してたことを考えても。なかなか割のいい商売にはならないか?

俺がマネージメントしてたら是が非でも売るのになー。おもしろそうなのに、惜しいことです。

どっかの水族館のおみやげ物からペンギンをピックアップしてくるだけでもよ…とか頭の中で取らぬ狸の皮算用もしたわたくしでした。

――あと、
ペンギンが滑って転ぶのには笑いました。

しかもその転び方が人間そっくり!!(笑)

「あわたッ!」って感じにぶへっと顔面を打つ皇帝ペンギンを見ていますと、いやー生き物が慌ててバランスを取ろうとする仕草とかは種に関係なくよく似てるなあと感心したもんです。

見終わった後は、「可愛かったシーン」で話が盛り上がりましたが、地下の劇場から上がったとたんに熱波につつまれ口数が減りました。

まだまだ残暑がキビシイーっ!

どうせ涼むなら、この夏は映画館へ。
思わぬちいさな感動が待っているかもしれません。

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